今月9日から渋谷シネマヴェーラで川島雄三特集でげす。
シネマヴェーラは2本立てで1400円、会員になればなんと1000円で数々の傑作を見ることのできる素晴らしい映画館です。
で、わざわざ渋谷まで出て来たわけだから、
映画を見た後の余韻に浸るためにどこか適当な店に寄ることになるわけでげす。
「やっぱ、焼き鳥食べたいな」と思ってふらっと入った店のカウンターの隣には会社勤めらしい男女がとても楽しげな雰囲気で飲んでいて、そこはやっぱり二人の会話が気になるわけでげす。
最初は男女のウフフ、ウフフな会話だったのが、次第に会話は彼らのビジネスの話に。
二人の口から信じられないほどの多くの外国の名前が出て来て
しかもそのいずれの国にも滞在したことのあるようなその口調に、
こちらの興味もさらにかき立てられ、激しく聞き耳を立てることになります。
今覚えているだけでもイスラエル、カナダ、マラケシュ、タンザニア、ザンビア・・・。
ザンビアってアフリカの国の名前だったんですね。
ガンダムに出てくる惑星の名前かと思いましたよ。
すると女の方が男の方に、
「それじゃXXXで飲もうよ!ね?飛行機の時間も同じくらいでしょ」
と言いました。思わず椅子から転げ落ちそうになりましたよ。
ちょっと忘れてしまいましたが、余り聞いたことのない、アフリカの国の名前だったような気がします。
さらに聞き耳を立てるに、二人はどうやら、ある省庁で働いている方達らしいのです。
それからは、こちらが冷や汗をかくほどの、具体的な省庁の名前と、個人の名前が飛び出し始めて、映画の見過ぎな自分は「これ以上聞くと消されるかも!」と思いましたね。
それぐらい聞く方が冷や汗もののエピソードの数々でした。
と、急に二人の会話にかなりの長い間ができまして、隣に座る女性の視線が私のテーブルに注がれた気がしました。それと同時に
「この人、串三本と、やっこだけで、やたら粘ってない?」
という女の方の心の声が聞こえた気がして、
確かに猫の食い残しの餌のように、串三本のいずれにもひとかけらずつ肉片が残って並んでいるのには、我ながらみっともない気がしたもんだから、早々たいらげて、酒を飲み干し、レジへと向いました。
ここでの約束事は、決してその男女の顔を、会計の隙をねらって見たりしないことですね。
そこで聞いた各省庁や官僚の名前や、彼らがしでかした武勇伝の数々は、酒を飲んだからどうせすぐ忘れます。
彼らが聞かせてくれた旅行記のおかげで、自分も何だか色んな国に行った気がして楽しかった。
少し気になるのは、
その口調の、大学生じみた薄っぺらさか。
なにはともあれ、川島雄三特集。
渋谷シネマヴェーラで今月29日まででげす。