京王線で帰宅途中の話。
だいぶ込み合った車内、ドア付近の一角を女子中学生4人が陣取っていました。
なぜ彼女達に目が行ったかというと、地元の地名が記されたスイミングスクールのジャンパーを着ていたからです。
新宿発の列車が発車するまでの待ち時間、その中の一人が突然誰かのモノマネを始めました。
それを見た他の3人は揃ってケタケタ笑います。
中の一人が「ちがうちがう」と言って同じ人物のモノマネをします。
4人は揃って笑います。
どうやらコーチか先生のモノマネをしているみたいです。
別の一人が「じゃ、これは?」と言ってまた別の人物のモノマネをします。
4人は手を叩いてケタケタ笑い転げます。
まるでデビューしたてのTLCを見ている気分でした。
しばらくして彼女達から少し離れた所に、同じスイミングスクールのジャンパーを着た男子チームがいるのに気がつきました。
こちらは4人とも座席に座って、うち3人は吉本の若手芸人のように肩を寄せ合ってプレステで遊んでいました。
一番端の眼鏡をかけた彼はプレステを持っていないのか、プレステは目に悪いからと親から禁止されているのか、隣の3人の画面を覗き込みつつ、たまにドア付近の女子チームメイトに目をやります。
ほんの少しの羨望を感じつつ、あまり見たくはないのだけれど、どうしても目が離せなくなるといった視線。
次第に彼の目線は友達のゲーム画面から、ドア付近の女子チームメイトに魅かれて行きます。
「あいつらいったいなんなんだ?なんであんな風にいとも簡単にこの世の中で自分たちの居場所を作れるんだろ?おい、あれを見てみろよ。おれたち気づかないうちにずいぶん差がついちゃったじゃないか!」
と彼が思ったか思わなかったか。
それはわからないけど、俺はなぜだか彼女達の面白いんだか面白くないんだか分からないモノマネ大会から最後まで目が離せませんでした。