THE BLACK SCREEN BRIGADE

『アイム・オール・ライト』３５

そして一週間後の18日は高川裕也さん一人、部屋内のシーンのまとめ撮りです。

まとめ撮りといっても2シーンです。

それでも大事な大事なラストシーンの撮影でした 

 

撮影場所は『アイム・オール・ライト』撮影で何度も何度もお部屋をお借りしている福田夫妻宅。

 

実は私、この撮影の２日前、別の現場でストロボのジェネを持ち上げようとした時に腰をグネってしまい、軽いギックリ腰でした。

 

そんな私を宗田進史さんがガッチリサポートしてくれました。

現場は俳優の高川さんに私、宗田さんの３人だけ。

とはいえ、北海道ロケも含め、かれこれ、かなりの長い時間を一緒に過ごしてきたトリオです。

撮影は実にスムーズに進みました。

 

 

ひげを剃るという行為にはどことなく父性が漂いますね。

５年ぶりに会う娘のための身支度のシーンなのでなおさらです。

今までの撮影ではあまり見たことのない高川さんの一面が撮影できました。

カメラの後ろから「お父さん！｣と呼びかけそうになりました。

年、10ちょっとしか離れていないんですけどね。

１１時に集合して１７時半に撮影終了。

 

高川さんはこのあと別の収録があるため撮影場所近くの駅前でお別れ。

私と宗田君は車で私の地元まで移動。

地元の飲み屋で２人で「お疲れさん会」。

 

｢『ミリオンダラー・ホテル』のミラ・ジョヴォヴィッチは腰が抜けるほど可愛い！」

 

という話題でサイコーに盛り上がりました。

 

撮影場所として協力頂いた福田一郎さん、加枝子さん、長期に渡り何度も何度も、本当に有り難うございました！

おかげ様で部屋内シーン無事すべてを撮り切ることが出来ました。

 

『アイム・オール・ライト』これを書いている今も腰は痛いけど、私はまだまだ大丈夫です！

 

『アイム・オール・ライト』３４

病院ロケから中１日、10日はQUEEN'S HOTELで高川裕也さんと甲田益也子さんのリハーサルでした。

 

５月半ばから、ペースアップした『アイム・オール・ライト』撮影。

ここんところ身体は慢性疲労状態。

日々階段を上る足の重いこと重いこと！

四十肩の痛いこと痛いこと！

眠りの浅いこと浅いこと！

これから夏だというのに、懐の寒いこと寒いこと！

 

それでも現場に入れば身体と頭はまだまだ働きます。

四十を越えた私の身体もまんざら捨てたもんじゃありません。

 

｢あのう・・・撮影後の打ち上げをやめたらそんなに疲れないと思いますけど」

 

なんて至極真っ当な意見が聞こえてきます。

ほんとそうですね。

 

でも撮影後の酒はこれ以上ないくらい美味いのでやっぱり止められません！

撮影はリハーサルの次の日の11日でした。

この日は甲田益也子さんが星野組初参加でした。

甲田さんとは以前、甲斐田祐輔監督の『すべては夜から生まれる』で現場を御一緒しています。

甲田さん演じる「優子」は脚本を書いている段階から甲田さんを当て書きしていました。

『すべては夜から生まれる』でも今回の『アイム・オール・ライト』でも甲田さんが演じる役名は同じ「優子」という名前です。

甲田さんに対する私の思い入れ、伝わってますか？

 

今回の『アイム・オール・ライト』では高川裕也さん演じる「青木」の「元妻」という役柄です。

 

 

前回の本読みの時、「この二人は高校からの付き合いだったに違いない！」というひらめきが私にありました。

高川さん曰く、

 

｢いまだに俺のことを”青木君”って呼んでる感じね」。

 

長年の付き合いの中、お互いの良いところも悪いところも知り尽くした関係。

そして今は訳あって離ればなれに暮らす２人。

そんな二人の関係を作るために、２月には３人で卓球大会を開きました。

吉祥寺の卓球居酒屋で。

甲田さんと卓球居酒屋の組み合わせはかなりシュールですが、勝ち抜き卓球大会では甲田さんが１位でした。

その後のダーツ大会でも甲田さんが１位でした。

２つとも最下位は私でした・・・。

手加減なしで最下位でした・・・。

しかも私、転がったピンポン球を拾おうとして思いっきりバーカウンターに頭をぶつけタンコブが出来ました・・・。

 

・・・それはそれとして、今回の撮影、スケジュールがかなりタイトでした。

というのも撮影場所としてお借りしている叔母が今月末に引っ越す事になったからです。

撮影場所としてお借りしている叔母宅は『アイム・オール・ライト』主人公、青木の自宅という設定です。

 

「やべー！なんとか今月末までに部屋内のシーンを撮り終えなければ！」

 

と撮影前はかなりバタバタしました。

高川さんと甲田さんのスケジュールをお聞きして調整。ギリギリ１日だけお二人の日程を合わせることが出来ました。

 

それでもワンシーンですからね。

ワンシーンに１日。

これはムチャクチャ贅沢なスケジュールです。

卓球大会ですでに２人の息はピッタリですからね。

 

かくして撮影は無事終了。

 

ちなみに急なスケジュール調整のため、この日、私の右腕宗田進史さんは参加できず、今回の撮影助手はうちの嫁、リミでした。

彼女は甲斐田監督『すべては夜から生まれる』では美術を担当していました。

今回はレンズ交換、フォーカスフォロー、その他諸々雑用を担当してもらいました。

 

もう、総力戦です。

 

撮影現場での、

 

｢あの頃といっしょだね」

 

という甲田さんの一言がとても心にしみ入りました。

 

お引っ越し準備のお忙しい最中、撮影場所にご協力頂いた福田一郎・加枝子夫妻、本当にありがとうございました！

 

衣裳協力として今回もmosline加藤さんには大変お世話になりました。

加藤さん有り難う！これからも宜しくです。

 

『アイム・オール・ライト』次回の撮影リポートは『18日 福田夫妻宅 最後の撮影』です！

『アイム・オール・ライト』３３

そんでもって８日は病院ロケでした。

 

杵鞭麻衣さんと牧田裕次さん。

 

長いですからね。この２人は。

芝居に関しては何の心配もありません。

あとは二人の芝居をどうカメラで撮影するかだけです。

なのでカメリハの段階からドンドン回して行きます。

ちょっとしたアクションの訂正をしながら５〜６テイク撮って行きます。

 

この日は病院スタジオを５時間お借りしました。

助手は私の右腕宗田進史さんに加え、先日に引き続き実弟のアキーラ。

埼玉県の病院に12時だよ全員集合。よーいドンでスタート。

 

この日高川裕也さんはワンシーンのみの出演でした。

そしてこの日、星野組初参加の加藤道子さん。

 

何のトラブルもなく終了予定時間の１５分前に撮影終了。

 

撮影終了後は皆でいそいそと西荻窪に移動。

『戎』の本店じゃない方で打ち上げ。

杵鞭さん、牧田さんは途中で離脱。

私、高川さん、宗田君、実弟アキーラに宗田君の奥さん元子さんが合流し次の店へ。

次の店から空の桶へ。

空の桶の途中、宗田夫妻は離脱、最後は私、高川さん、アキーラの３人に。

 

店を出たのは午前２時半。西荻窪駅前。

タクシーで去るアキーラと暫し別れの抱擁。

アキーラを見送った私と高川さんは、

 

「とにかく井の頭通りに出よう」

 

と二人歩き始めました。

 

映画『アイム・オール・ライト』に関して千鳥足の真剣な打ち合わせ。

井の頭通りに出て高川さん、タクシーを拾うのかと思ったら

 

「オレ、歩いて帰るわ」

 

と私の前から去って行きました。

 

「・・・って、家、たしか横浜だよね？」

 

撮影はラストシーンに近いパートだったので「あー、だんだん撮影も終わりに近づいてくると寂しいもんだなー」と少しセンチメントになっていましたが、家帰って脚本読んだら、まだまだでした。ただの勘違いでした（笑）

 

『アイム・オール・ライト』つんのめりながら膝を擦りむきつつ、走り始めています。

『アイム・オール・ライト』３２

ここ最近は撮影日誌を書く暇もないほどハードなスケジュールでした。

今月８日に病院ロケ、11日は甲田益也子さん初参加の室内ロケ、そちらの撮影日誌もこれから書きますが、その前に先月２８日の撮影を振り返ってみましょう。

 

｢Previously on I'm All Right !」

 

・・・そういったわけで、２８日、土手でのナイトシーン撮影でした。

私、さすがに画コンテ描きました。

 

 

画コンテを描くとどうしても頭の中がカット割りに縛られてしまい俳優の意外な動きに反応できなくなる気がして余り好きではないのですが、１回限りのロケなので撮り漏れがないように、メモ的に描きました。

字とか矢印とか色々書き込んでありますが、現場に入るとこれが一切頭に入ってきません。だからあまり意味ありません。

 

この日の撮影は私の右腕、宗田進史さんが仕事のため参加できませんでした。

そこで私、弟の晃（アキラ）に助手を頼みました。

実弟です。

ちゃんとした勤め人です。

会社も本人も忙しいであろう平日の最中、無理を言って休みを取ってもらいました。

 

｢いよいよ家族をかり出したか！」

 

と皆様思うかもしれませんが、私の弟、アキーラは実は10年ほど前も私の撮影助手として１ヶ月ほど共に現場を踏んでいます。

ダークバックを使ってのArriflex353のフィルムチェンジだって５０回ぐらい経験しています。Arriflex SR16のフィルムチェンジだって経験しています。（その時はフィルムがタケノコ状になってしまい、ダークバックに両手を突っ込んだまま１時間以上青白い顔で奮闘していましたが）。

と、まあそんなわけでおよそ１０年振りに弟を助手に迎えました。

 

この日は高尾さん演じる「ナツ」の息子「ミツル」が初参加です。

｢ミツル」役は友人の萩原さんの息子さんヨシトモ君に演じて貰いました。

 

 

ギャランティーはトミカから出てる「カーズ」シリーズのミニカーでオーケーとのことでした。

 

ヨシ君が持っている｢カーズ｣とかぶるといけないと思って、萩原さんにヨシ君の「カーズ」コレクションの写真を送ってもらいました。

よく見るとどの車も大分使い込まれてるな（笑）

 

吉祥寺のコピスで『カーズ』の車２台購入しいざ現場へ。

日没を待って、撮影はおよそ１９時半頃スタート。

 

 

あれほどテンパると想像した撮影は思いのほかスムーズに行きました．

｢ミツル」役のヨシ君は「じゃあ、行くよー」というとスイッチが入る役者タイプ。

｢あれだけ女の人に抱きつかれたから、ヨシとしてはウハウハじゃなかったんじゃないかな？」とはお母さん萩原知子さんの弁。

 

この日星野組初参加のAさん（諸事情により名前はまだ明かせません）も素晴らしかったです。

写真が載せられないのが本当に残念です。

低音の声が魅力的な方です。

アフレコが今から楽しみです♡

 

さて、子役絡みの撮影を終え、いよいよ礒部さん・高尾さんの撮影シーンへ。

タクシーに乗ったり降りたり、なにかとタイミングが難しいシーンが続きますが、礒部さんも高尾さんも集中力を切らすことなく演じてくれました。

 

｢ちょっと一休みする？」

 

と私が聞いても

 

｢（首を横に振り）この勢いのままやっちゃおう！」

 

と高尾さんと礒部さんが、あわよくばしゃがみ込みこんで煙草を吸いそうになる私のケツを蹴り上げて現場に勢いを与えてくれます。

 

 

撮影終了は２３時半。

 

それぞれの最寄りの駅で「それじゃまたー」と散り散りに別れて行きました。

撮影場所を提供して下さった平夫妻、萩原知子さん、ヨシ君、アキちゃん、衣裳協力をして頂いたmoslineの加藤さん、ありがとうございました！

 

『アイム・オール・ライト』怒濤の匍匐前進から四つん這いの全力疾走へと移行しています。

どうかチャンネルはそのままで。

『アイム・オール・ライト』３１

先月２１、２８日と映画『アイム・オール・ライト』撮影でした。

 

２１日は１６時に吉祥寺駅に集合、俳優の礒部泰宏さんと高尾祥子さん、助手の宗田君、私の４人で１台の車に乗って、まずは２８日撮影予定の日野市へ移動。

浅川の土手に到着後、２８日の撮影の流れを二人に説明。軽くリハーサル。

（土手の草野原で、中の種を抜くと笛になる『ピーピー豆』という植物を探す高尾さん。「え？ピーピー豆知らないの？」と問いかける高尾さんに「知らねえよそんな豆」と答える礒部さん）

 

ところで、２８日に撮影を予定しているこの土手での撮影はナイトシーンの予定でした。

 

夜間撮影なので照明が必要になります。

電源はジェネから引くことになります。

(ジェネは小さなエンジンみたいなもんでやたら音がうるさいです）

子役も出演します。

タクシーも出てきます。

・・・ちょっと大掛かりです。

 

｢うん。撮影許可が必要だな」

 

と許可申請に動き始めました。

しかし許可は降りませんでした。

あっさりと拒否されました。

 

｢夜間の撮影は近隣の方の迷惑になるためお断りしています｣

 

とのことでした。

まあ、その通りですな。反論の余地ありません。

２、３日悩みました。

 

１日目「ポクポク・・・」

２日目「ポクポクポク・・・」

３日目「ポクポクポク・・・チーン！よし！これで行こう！」

 

解決策はロケ場所の変更でした。

撮影場所を以前住んでいた家の前の土手に変更しました。

その土手のすぐそばには長年お世話になった大家さんのお宅があります。

その土手の道沿いには駐車場もあります。

電源は大家さん宅からお借りして、照明は駐車場に立てて、劇車の待機や退避も駐車場をお借りする。

いやはや我ながらあっぱれ恥知らずなアイデアだと思いました。

それでも急遽連絡を取ると大家さんは協力を快諾してくれました。

 

そんなわけで２１日は大家さん宅に挨拶に伺いました。

突然の訪問にも関わらず大家さん（厳密に言えば元大家さん）玄関先で、

 

大家さん「あらー、星野君、元気だったー？」

私「元気ですー！すいません、年賀状も出さないで・・・」

大家さん「そんなことはいいんだけど、里美ちゃん（うちの嫁）元気？」

私「はい、おかげさまで、元気です」

大家さん「あー、それは良かった。そうなの、そうなのね。で、この方は？」

私「あ、いつも撮影を手伝ってくれている宗田君です」

大家さん「宗田さんっていうのね」

宗田君「あ、どうも。宗田です」

大家さん「宗田さん。うちの娘の旦那さんに似てるわね」

 

なんて会話の後、２８日の撮影の概要と電源を借りたい旨をお伝えし、

「それでは２８日宜しくお願いしまーす！」

と皆でご挨拶。車に乗り込んで本日の撮影場所へ移動。

 

日没を待って、都内某所にて礒部泰宏さんと高尾祥子さん、タクシーの車内での会話のシーンでした。

 

このシーンは本読み＆リハーサルの段階からとても好きなシーンでした。

脚本を書いた段階では気づかなかったのですが、去年の暮れ、礒部さん・高尾さんの本読みを聞いた途端「これはとても重要なシーンだったんだ！」と気づかされたシーンでした。

 

日没後の19時〜２３時まで撮影。

正直言うと、これから何度も、何度でも撮影したいシーンでした。

撮影後は皆でロイホで食事。

「それでは２８日よろしくー！」

と別れました。

 

　・・・『アイム・オール・ライト』３２へ続く。