2014年、我が家のカレンダーはエドワード・ホッパーです。
しかしこのカレンダー、フルフレームじゃないんですよね。
例えば上の画の下にはキャプションでタイトルが書いてありまして、その横に括弧で(detail)って書いてあるんです。”detail"、
つまり「部分」ってことですよね。
どうなんすかね?こういうの?なんか腑に落ちない感じですけど。
でもまあ、今月から毎月このカレンダーの画について何か書いて行こうと思いますよ。
で、2月!
タイトルは「Compartment C, Car 293」です。
私の大好きな列車ですね。列車のコンパートメントです。
画面右の女性はどうやらエドワード・ホッパー夫人のようです。
カレンダーに書いてある解説が英文なので何とも心許ないですが、どうやら二人はホッパーの絵を売るためにアメリカ中を列車で旅したようです。
窓からは石造りの橋と森、薄暮の夕陽が見えます。
ところで窓の外に見える土手に流れた影、これ、何なんでしょうかね?
私は最初この絵を見た時にこの車内の電灯が作る影だと解釈しました。
それから少しして、日没の太陽がつくる列車の影かもと思いました。
そうなると太陽は画面右側に沈みかけていて二人が乗る列車は北に向って進んでいるって事になりますね。
それにしてもこのコンパートメント、天井高いですね!そして明るい!
全体的に緑で統一された内装がとても落ち着いています。
ヘッドカバーの下部が紫なのはホッパー夫人の着ている洋服の反射光ですね。
夫人の右斜め後方から指す光が夫人の読む本の紙面に反射して彼女の顔をうっすらと浮き上がらせているあたりに、この画家の妻に対する愛を感じます。
画面左、窓の横にある縦長の枠は鏡ですかね。
ここにも夫人の紫色の影がうっすらと映っています。
それだけでなく、夫人が着る紫色の服の反射はヘッドカバーからランプシェイド、傍らに置かれた別の冊子、窓の外の森の木々から暮れ行く雲まで広がっています。
解説文によるとホッパーは「列車に乗ると全ては美しく見える。ところが止まった途端、これがつまらなくなるんだ」みたいなことを言ってるそうです。
走る列車から見える景色は人類が発明した物の中でも最良のものだと思います。
ちなみに列車のコンパートメントで思い出す映画はアルフレッド・ヒッチコック監督の『バルカン超特急』とルイス・ブニュエル監督の『欲望のあいまいな対象』ですね。どちらも傑作なので是非見て下さいな!