"conference at night" というタイトルです。
「夜中の会合」といったところでしょうか。
それにしても不思議な絵です。
画面右、ベストにワイシャツの袖をまくった男が、向かいの女性と男性に何かを提案しているように見えます。
ワイシャツ男は左腕を重心に受け身な体勢で余り自信がなさそうです。
それに対し女性は両手を前に組み姿勢正しく、実に堂々と立っています。
彼女の目線はワイシャツ男を見ていません。
画面中央のコートを着込んだ男は両手をポケットに突っ込んでワイシャツ男の提案を聞いているように見えます。
解説でホッパーさんは「建物のロフトの窓から通りに並ぶビルの人工的な光が差し込んでいる様子に魅かれてこの絵を思いついた」みたいな事を言っています。
ちなみにこの絵は、一部で「共産主義者たちの会合を描いているように見える!」と批判されたそうです。
わたしなんかは「そりゃいくらなんでも考え過ぎだろ」と思います。
とはいえこの作品が描かれたのは1949年。
わずか1年後に朝鮮戦争が勃発します。
太平洋戦争後、突如覇権国としての自意識に目覚めたアメリカが共産主義に対して態度決定を迫られるという時期でした。
マッカーシー率いる非米活動委員会がアメリカ中の共産主義者に対してヒステリックに活動をしていた時期でもあります。
私にはこの絵の3人は演出家と俳優に見えます。
ベストを着た髪の毛の薄い男が演出家です。
演出家が余り自信なさそうに俳優達にシーンの説明をしているように見えます。
窓から斜めに差し込む光の光源はもちろん舞台照明です。
画面左隅にある扉もきっと大道具でしょう。
だってこの扉変でしょ?
なんであんなところに突然扉があるんですか?
画面中央の女優は多分ジョーン・クロフォードさんです。
・・・という私の仮説を根底から覆すのは画面上部の天井の梁です。
さすがに天井がある舞台美術はないような気がします。
さて、前述のマッカーシー上院議員率いる非米活動委員会はその聴聞会で沢山の才能ある映画監督や脚本家を共産主義者として槍玉に挙げ、ハリウッドから事実上追放します。
下の写真はその聴聞会で抗議の声をあげるダニー・ケイとハンフリー・ボガート、ローレン・バコールです。
「おい!おい!何をおかしなこといってんだ!?」と思わず椅子から立ち上がるダニー・ケイとボギー。
コメント
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