先日は同窓会でほぼ20年振りの友人達と再会。
皆それぞれいい男、いい女になっていて感動でした。
キッチリ2次会まで参加して、中央線で帰る途中、「そういえば今日は日本酒飲んでないな」と思い立ち、吉祥寺で途中下車をして、今まで入った事のない居酒屋の暖簾をくぐったものの、頼んだおでんが出てきた時に、「こりゃ完全に店の選択をまちがったな」と確信しました。
なぜなら、おでんから納豆の匂いがしていたからです。
何かの具が悪くなっている具合の悪いおでんでした。
それでも「出されたものは余すな」と育てられてきたので、とにかくその納豆みたいな匂いのおでんを、これまたやたら甘口の日本酒で頂きました。
久し振りに再会したあんな顔やこんな顔を思い出しながら、しっとり飲みたかったのに、納豆臭いおでんと甘口の日本酒でそれどころでなく、最高にナンダカナーの気分でした。
帰りの電車の中では、20代の頃にお世話になった現場仕事の親方に思いを馳せました。
同窓会の席で、同じ現場仲間だった友人から、親方の数日前の訃報を知らされたからです。
親方と共に働いたあんな現場、こんな現場に思いを馳せていると、ふと誰かが落としていった黒いネクタイが足下に落ちているのに気がつきました。
クルッとリボンのように丸まって、まるで喪章のように見えました。
駅に着き、電車を降りる段になって、告別式に出るのに黒いネクタイ1本持っていない事を思い出し「そうだ、これを締めていけばいいんだ」とそのネクタイを拾って電車を降りました。
次の日の朝、嫁が二日酔いで布団から出られない俺に「ねえ、これなんなの?」と例のネクタイの事を聞きます。「ああ、拾ったんだよ」と答えると「何でこんなもん拾うのよ?」と聞くので、とりあえず「酔っ払ってたから」と答えました。
少しの間の後「これなんなの?」と聞くので「ネクタイ」と答えました。
また少しの間の後「なに言ってんの?これ、ネクタイじゃなくて、コートのベルトだよ」と彼女は言いました。「女物のコートのベルトだよこれ。あーあ、きっと探してるよ」
確かにネクタイにしてはずいぶん長いなーとは思ったんです。
ウールの黒いネクタイなんて珍しいなーとも思ったんです。
それにしたって、この世の中に、よりにもよってコートのベルトを落とす馬鹿がいるなんて想像できます?
そんな女、相当の馬鹿女ですよ。
じゃあ、それをネクタイと間違って拾う男はなんなんだって話ですけどね。